LOHAS(ロハス)なライフスタイルを創造する生活情報雑誌






ナニがそんなに難しい!?
地球温暖化対策

 私の世代には夢があります。いつか野生の動物たちの群れや、たくさんの鳥や蝶が舞うジャングルを見ることです。でも、私の子どもたちの世代は、もうそんな夢を持つことができなくなるのではないか? あなたがたは、私ぐらいの歳の時に、そんな心配をしたことがありますか?

 こんな大切なことが、ものすごい勢いで起こっているのに、私たち人間ときたらまるでまだ余裕があるようなのんきな顔をしています。まだ子どもの私には、この危機を救うのに何をしたらいいのかはっきりわかりません。でも、あなたがた大人にも知ってほしいのです。あなたがもよい解決方法なんてもっていないことを。オゾン層にあいた孔をどうやってふさぐのか、あなたは知らないでしょう。死んだ川にどうやってサケを呼び戻すのか、あなたは知らないでしょう。絶滅したどう物をどうやって生き返らせるのか、あなたは知らないでしょう。そして、今や砂漠となってしまった場所にどうやって森をよみがえらせるのか、あなたはしらないでしょう。
 どうやって直すのかわからないものを、壊しつづけるのはもうやめてください。

 これは、1992年リオ・デ・ジャネイロ開催された「地球サミット」に『自分たち子ども将来が決められていようとしている場に、子ども自身が意見を伝えに行くべきだ』と自分たちで資金を調達し会議にのりこんだ、セヴァン・カリス=スズキ(カナダ国籍)という12歳の少女が行なったスピーチの冒頭です。「リオの伝説のスピーチ」と呼ばれています。
 このスピーチを、ぼくは風車博士として知られる牛山 泉博士(足利工業大学副学長)の講演で知りました。
 どうやって直すかわからないもの――、まさしく大きな病に見舞われている地球を、これほど的確に言った言葉はないでしょう。ぼくたちが、物量に豊かさを求めた結果、地球に大きな負担をかけ続けてきました。セヴァンの言葉の通り、壊すことを止められればよいのですが、悲しいかな、現実として“ストップ”することは今となっては不可能です。電気のない生活、水道のない生活はできませんから。しかし、地球の痛みを和らげる、また進行を遅らせることはできるはずです。
 資源エネルギー庁では、現在のペースでエネルギーが消費された場合、石油は41年、天然ガスは63年で埋蔵量のすべて使い切ると試算しています。しかし、先述したように、これはあくまでも“現在のペース”が前提です。もの凄い勢いで経済発展を遂げている中国やインドのエネルギー消費は未知数です……。


砂漠の拡大は深刻だ。1970年から1990年の20年間に、実に2000キロ平方メートルも拡大している。先ごろ、青海湖(中国最大の湖)が約200年後には消滅すると報道されたことは記憶に新しい。

 今年は、1997年に採択された京都議定書の準備期間の最終年になります。一回目の約束期間(2008年~2012年)の開始の遅くとも一年前までに、二酸化炭素をはじめとする温室効果ガスについて、排出量(どのような原因によって発生したか)をどのように吸収し、どのくらい減らせるのか、その推計を基に日本の目標値である−6%を達成するための制度を設けることになっています。これが、いわゆる「京都議定書目標達成計画」と呼ばれる閣議決定です(2002年)。
 ところがです。先述の「−6%」とは1990年の排出量を基準値としていますが、昨年10月に環境省が発表した2005年の総排出量は、8.1%増となっています。つまり、日本は約束期間に都合14.1%もの温暖化ガス総排出量を削減しなくてはならないのです。ここでは、目標達成計画の内容の詳細は割愛しますが、これによって14%もの排出量削減が2008年から2012年の間になされるとは、正直なところ素人目にも思えません。

風車(前川)

マエカワ
コラソン・シリーズ(1kWタイプ)
風速12m/s時に1kWを発電する小型風車。垂直軸のため、360度どの方向の風でも発電することが大きな特徴だ。

問合せ先:株式会社前川製作所
〒135-8482 東京都江東区牡丹2-13-1
TEL:03-3642-8181
http://www.mayekawa.co.jp/

 たとえば、2020年までに全世界の発電電力量の12%を風力で賄おうという「Wind Force 12」など、新エネルギーへのチャレンジがさまざまなかたちでなされています。これらの提案が、すぐに実現されるか否か、国による制度化の問題も含め、懐疑的な声も少なくありません。しかし、少なくとも電気をはじめとする動力に頼らなければ現代のぼくたちの生活が成り立たない以上、これらの新しい試みを、傍観するのではなく、真摯に考えるべきではないでしょか?
 10年以上も前に、12歳の少女が心を痛めていたのですから……。


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コメント

http://www.youtube.com/watch?v=C2g473JWAEg
これがそのスズキさんの伝説のスピーチです。
ユーチューブからです。
今も講演会やワークショップに活動しているそうです。

投稿者:westing21
2007年08月26日 19:52

westing21さん、コメントありがとうございます。

さっそく拝見しました。12歳とは思えない迫力ですね。
ズズキさんは、westing21さんがご指摘された活動の一環として、何度か来日されているそうです。

編集部でも、機会があればぜひ取材をしたいと思っております。その節は、またぜひ記事を読んでくださいね。

投稿者:LOHAS編集部
2007年08月29日 13:19


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