いよいよ「どこでも発電」が現実のものに。音力発電 速水 浩平さんに聞く。振動を電力に変えるという目からウロコの発電方法
いま、電気のない生活は考えられなし、それは余りにも現実的ではない。だから、もう少し、みんなで使う量を減らしましょう――。というのが世の常識。もちろん大切な、立派な考え方ではあるけれど、ひとつ、大きな盲点があることにお気づきですか。それは「限りある資源」をエネルギー源としていることです。もし、自分が使う電気が、自分の身の回りで簡単に発電できるようになれば、日本の、いや世界の電力事情は大きく変わるでしょう。「身近なロハス」の第2回目は、人が起こす振動をエネルギー源として発電するシステムを作った株式会社音力発電の速水 浩平さんにご登場いただきます。
歩いたり、ドアを開けたり……。
自分で起こす振動が電気をつくる。
たぶん、振動のないところで生活をしている人は、まずいない。というと「なんのこっちゃ?」と訝しく思う人もいるかもしれない。でも「音のないところで生活している人はいない」と換言すれば「そりゃそうだ」と納得してくれるだろう。
なんだか禅問答のような話で恐縮だが「振動」と「音」とは、物理的、化学的、その他の難しい定義では分けられても、ぼくたちの生活の上ではほとんど同義語として捉えることが出来る。それは、音は必ず振動によって発生するからだ。つまり、音とはモノが揺れたり、こすれたり、ぶつかったりした「振動」が、周囲の空気を揺らす現象なのだ。だから、振動と音は切っても切り離せない関係にある。たとえば、あなたが夜遊びをして家に帰った時、家人に気づかれないよう(起こさないように)そーっと玄関のドアを開けるでしょう。もちろん音を出さないようにと思ってとる行動だが、それはすなわちドアが起こす振動を極力抑えることでもあるのです。また、あなたが出勤途中に自動車の衝突事故を目撃したとしましょう。そして、会社に着いたら事故を目撃したことを話すでしょう。その様子を伝えるのに「凄い音だったんだよ」と言うでしょう。それは、事故の衝突の激しさを描写するために、欠かせない言葉だからかです。聞いた方も「それはよほど大きな事故だったのだろう」と容易に想像がつきます。つまり、音が大きければ大きいほど、その衝撃(振動)が大きくなることを体感として知っているからです。
ひとりの小学生が抱いたアイデアが、
エネルギーの歴史を大きく変える。
そんな振動と音の関係に興味を持った一人の小学生がいた。彼はスピーカーから出る音を聞いていて「電気で音(振動)を出すのだから、その逆に音(振動)から電気を作れないものか」と。ワットが蒸気機関を(ニューコメンなど、他の発明者もいるが、実使用レベルを作製、産業革命をもたらしたとして一般的には蒸気機関=ワットとされている)、グラムが発電機(これをきっかけにグラムはモーターも発明する)、エネルギーの発展には、必ず天才的なキーパーソンがいたことを、その歴史が語っている。
その少年はやがて慶應義塾大学に入学し同大学院に進学、在学中にベンチャー企業「音力発電」を立ち上げる。しかし当初は「音(振動)から発電するなんて無理だ」と失笑を買う。
「でも、電気によって回すモーターは、回すことによって発電するわけですから、原理的には音(振動)から電気も作れるわけです」
そう話すのは、小学生の時に抱いたアイデアを実現した(株)音力発電の速水浩平さんだ。速水さんの作った発電システムは、何度もの実験や試作を経て、現在では藤沢市役所など実際に製品として導入されることが決定するレベルにいたっている。
「まだ、製造コストをはじめ一般普及するまでには多少時間がかかりますが、近い将来には日本の発電方式の一翼を担うようにしたいと思っています」
振動こそ、今まで見過ごされてきた
どこにでもある膨大なエネルギー源。
その発電システムは、同社が開発した「圧電素子」に振動や圧力が伝わ
ると、その力によって素子がゆるみ、その揺れで電気が起こる、というもの。この「圧電素子」をパネル状に内蔵させたものが製品化させた「発電床(TM)」だ。現在の発電量は、体重60kgの人が1秒間に2歩あるくと0.3~0.5w発電する。これはLEDが100~300個程度点灯する電力に相当。先に述べたように藤沢市役所の玄関をはじめ、企業のオフィスフロアなどにすでに導入されている。
産業経済省が発表した2008年の「エネルギー白書」では、右図のように天然資源を使ったエネルギー供給が約70%を占める。これによるCO2排出が、温暖化を招いている一因になっているのは周知の事実。政府は原子力発電の比率を高めようとしているが、それはそれで、事故や放射能汚染など多くの問題を抱えている。
また、発電所で作られた電気は、長い道のりを経てぼくたちの家や会社に届けられるわけだが、その間の送電ロスも、日本の場合は5~8%と言われているが、世界レベルでは15~20%も発熱等でなくなってしまう。いずれにしても、発電所が遠く離れている状況は、決して効率的とはいえない。
今までの常識を覆す
電池の要らないリモコンも登場。
音力発電では、今年の1月から3月に掛けて東京駅の改札に「発電床」を設置し、そこで発電した電気を使ってパスモなどのICカードを読み取る装置の電力供給実験を行なっている。その結果量産化の目処が立ち、ここ1年以内には、市販の床材の1.5倍から2倍程度の価格で販売が可能になるという。また、ボタンを押す圧力によって発電するリモコンは、NECエレクトロニクスと研究開発を行っており製品として登場することが決まっている。もう“電池切れ”でチャンネルが換わらずイライラすることもなくなるわけだ。
「非常用として、手で回し発電する懐中電灯やラジオがすでに製品化されていますが、ぼくは発電のために別のアクションを強いる製品は、現代では普及しないと思っているんです。たとえば、携帯電話にこの技術を応用した場合、現在の消費電力と発電量との関係では電話機を振る必要が出てきます。現代ではコンセントに線をつなげば、また電池を入れれば機器が動くことが当たり前。その感覚に即していないと受け入れてもらえないと思うんです」
あの、携帯電話の電池が無くなった時のストレスを考えれば、ぼくなどいくらでも振るのだが……。しかし、速水さんの目はそんな近視眼的なことではなく、もっと遠くに向けられているようだ。
考えてみれば「振動」ほど地球に負荷をかけずに、かつ、莫大にあるエネルギー源はない。車が走れば車体はもちろん、道路も揺れる。ガードレールにこのシステムが組み込まれれば、街路灯はもちろん、蓄電池や送電といった緊急用のバックアップ装置が付帯されるなら、信号機にも使われるかもしれない。人が溢れるターミナル駅などでは、改札機のほか、エスカレーターやエレベーター、またアナウンスなどの音響装置の電力も賄えるかもしれない。
近い将来、太陽光、風力、地熱の、いわゆる新エネルギーといわれるカテゴリーに「振動」と記される日が、きっと来るだろう。その日を楽しみに待ちたい。
※12月から東京・JR渋谷駅ハチ公口で、同社『発電床(TM)』によるイルミネーション点灯イベントが開催されます。
●音力発電に関するお問い合わせ先
http://www.soundpower.co.jp/
(写真1)
株式会社音力発電 代表取締役 速水 浩平さん
(写真2)
圧力素子を用いた振動発電床のデモボード。
ボードを踏むと周りに埋め込まれたLEDが点灯。
(写真3)
一次エネルギー国内供給の内訳(2006年度)
(写真4)
新宿や渋谷などの主要駅では、1日の乗降者数は優に200万人を超える。その人々の歩く振動をエネルギーに変えられるとしたら……。
(写真5)
道路の振動も活用したい。ただ、道路下に埋設するのは素子が進化した際に入れ替えが困難なため、ガードレールへの装着が現実的か。
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振動発電の長所と短所を教えて下さい
投稿者:杉山
2009年01月26日 13:04
中学校の技術の授業で発電についてのレポートを作っています。そこで、振動発電に興味がわき調べています。コストや長所、短所などをお教えてください。宜しくお願いします
投稿者:杉山
2009年01月26日 17:31
杉山さま
コメントありがとうございます。
さて、ご質問の件ですが長所はなんといっても「振動」というエネルギー源が無尽蔵にあるということです。記事でもふれましたが、振動と音は私たちが生活している現実的な空間では、ほぼ同じものと捕らえることができます。杉山さんは音のない空間、時間を経験したことはありますか? 杉山さんに限らず、無響室のような特殊な空間に入らない限り、音が聞こえなくなることはありません。つまり、私たちの生活環境で、振動がないということは考えられないのです。
もちろん、その大小の差はありますが、高層ビルは常に揺れていますし、道路や線路はたいへんな振動を発生しています。デバイス(発電素子)のエネルギー変換効率の向上や量産効果によるコスト削減も達成されれば、たいへんなエネルギー革命になると思います。
また、もうひとつ大きなメリットとして「いつの間にか」エネルギーを得るこtができる点です。災害発生時などに人力でモーターを回し発電するライト等がありますが、これと「振動発電」は似て非なるも。おわかりですか? 振動発電の場合はエネルギーを得る(発電する)ために、特別な動作や作業を強いることがないのです。つまり、今の動きや流れを変えることなくエネルギーを得られるのです。このふたつが、外のエネルギーと決定的に違うメリットではないでしょうか?
そして、ご質問のもう一つの「短所」についてですが、これはないと思います。
短所というのは技術の進歩によって解決できないことであったり、それをすることによって引き起こされるダメージ、などがある場合です。
よく、新しい技術に対してコスト高を「デメリット」という方がいますが、編集部ではそうは考えていません。
例えば、杉山さんがご自宅の電灯設備をすべて振動発電で賄おうと考え場合、そのコスト高を「短所」ということもできなくはありませんが、それは現時点を切り取った、一過性の捉え方ではないでしょうか。技術は、必ず進歩するのですから。
したがって「短所」ではなく、現時点で解決が求められるポイントとして
・デバイスの単価
⇒コストに直結します。
・施工のしやすさ
⇒道路などに埋設をした場合、デバイスが進歩するたびにリプレイスするこてゃ現実的ではありません。
・エネルギー変換効率の向上
⇒この効率化によっては、本当に現用エネルギーに取って代わるかもしれませんね。
こんなところでよろしいですか?
投稿者:LOHAS編集部
2009年01月26日 18:26
いま理科の授業でいろいろな発電方法について調べています。それで私は発電床について調べています。ぜひおしえてください。発電床の長所と短所をおしえてください。あと教えて欲しいのは、発電のしくみと発電床が日本で利用される割合です。よろしくお願いします。明日つかうんで!
投稿者:侑李
2009年02月09日 19:31
侑李さま
先に同様の質問をいただき、回答しています。
トラックバックを参照してください。
投稿者:LOHAS編集部
2009年02月09日 20:19
侑李さま
言葉足らずですみません。
2009年01月26日 18:26にLOHAS編集
部より投稿のコメントを見てください。
投稿者:LOHAS編集部
2009年02月10日 14:10
私も技術の授業で使わせてもらいます。
とても環境にいいんですね!すごいです。
乱文失礼します。
投稿者:春
2010年02月02日 14:50
春さま
コメントありがとうございます。
本当に、この圧電素子が普及すれば、
いまのエネルギー問題も大幅に改善されると思うのですが……。
民主党のセンセイ方に期待しましょう。
投稿者:ロハスサン編集部
2010年02月02日 15:58
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